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【連載 第1回:プロローグ】氷の下で眠るマリモの危機と復活 ―気候変動が迫る特別天然記念物の「いま」を解説

前回のブログ(3/17)では、岡崎で開催された「宇宙における生命ワークショップ」の参加報告をお届けしました。あれから早いもので少し季節が流れました(更新しなさすぎでした…)。

冒頭のつかみとして毎回の恒例になりそうな予感ですが、今回もおススメのカフェ情報を共有したいと思います(強制)。舞台は東京ではなく千年の歴史が息づく古都・京都です。伝統的な街並みが残る一方で、一歩路地に入ると洗練されたモダンなカルチャーや、職人魂の光るハイレベルな珈琲店がひっそりと佇んでいます。皆さんは京都に行かれた際、お気に入りのお店はありますか?私は京都に出張や遊びで行く際、かなりの高確率で向かう特別な場所があります。それが、烏丸大路から少し路地に入ったところにある「Okaffe Kyoto」というお店です。

ここのモーニングセットの「玉子サンド」がとにかく絶品で、これを目当てに何度も通っています。厚さ約4〜5cmはあるふわふわでボリューム満点な卵焼きを、「パンケーキ」でサンドしてあります。甘みと塩気のバランスが絶妙で、ドリンクにスムージー、ヨーグルトまで付いてくる大満足のセット。もちろん看板商品のコーヒーも深みがあって最高に美味しいです。

お店のもう一つの名物が「バリスタ界のエンターテイナー」と呼ばれるダンディな店長さんです。京都に立ち寄られた際は、このお店のモーニングからスタートさせてみてはいかがでしょうか。そして美味しい珈琲とともに、ぜひ店長さんとの楽しい交流も体験してみてください。

カフェにマリモ

さて、美味しいコーヒーで頭をシャキッとさせたところで、本題へ戻ります。前回の記事の最後で「マリモ」について少し触れましたが、今回は私たちが進めてきた冬の「阿寒湖のマリモ」に関する研究成果(論文2報)について、解説する連載をスタートします。ちょうど5月28日の朝日新聞全国版夕刊「エコ&サイエンス欄」にマリモの記事が掲載されました。同新聞専任記者・釧路支局長の山本智之さん(https://x.com/yamamoto92)に取材していただきました。記事を貼り付けることはできませんが、今回解説する論文に関するタイムリーな内容になっています。

ブログ記事ではなるべく平易に解説しつつ、専門用語についても丁寧な説明を心掛けます。余談や裏話なども盛り込む予定です。

今回は、1回でギュッと要約を詰め込むのではなく、全7パートに分けて丁寧に紐解いていきます。時には「そもそも光合成ってどういう仕組みだっけ?」という基礎知識や、「極寒の阿寒湖でのフィールドワーク」の裏話、さらには「アストロバイオロジー(系外惑星の生命探査)とマリモがどう繋がるの?」という壮大な宇宙のロマンまで、盛り込んでいく予定です。週に1-2回のペースでの更新を目指しますので、是非とも定期的にこのブログを覗いていただけますと幸いです。

まずは、これから数週間にわたってお届けする内容を簡単にご紹介します(目次)。

🗺️ 本連載のロードマップ(全7パート構成案 (仮))

  • 第1回:プロローグ&目次 👈(今ココ!)
  • 第2回:マリモってどんな生き物?(基本情報編)
    • 丸いだけじゃない?糸状体と球状集合体の不思議、そして最新の学名変更の裏話など。
  • 第3回:太陽の光は毒にも薬にもなる?(光合成・光阻害編)
    • 植物のエネルギー源である「光」が、実は牙を剥く?「光阻害」のメカニズムを優しく解説。
  • 第4回:光合成をどうやって測る?植物の「元気度」(測定手法編)
    • 論文の主役となる測定法「PAMクロロフィル蛍光測定」って何?色や光でマリモの健康状態を見抜く技。
  • 第5回:実験室で再現された恐怖の「低温+強光」(2023年論文編)
    • 温暖化で湖の氷が消えたらどうなる?マリモが持つ未知のサバイバル能力と、その限界。
  • 第6回:いざ極寒の阿寒湖へ!四季を追いかけた調査(2025年論文編)
    • キツイのは凍る前?溶けた直後?「マリモの表面」を襲うダメージ。
  • 第7回:エピローグ:マリモのタフさと、アストロバイオロジーの未来
    • ゴロゴロ回転して復活する驚異の生命力。そして、この研究が宇宙の生命探査にどう繋がるのか?

※内容の充実度によっては各パートが「前編・中編・後編」に分かれるなど、最終的に全9〜12回程度のボリュームになる可能性があります。

🟢 なぜ今、マリモの論文を解説するのか?

日本の特別天然記念物であり、誰もがその愛らしい丸い姿を知っている「マリモ」。 しかし今、地球温暖化による気候変動の波が、北海道・阿寒湖の冬の環境を劇的に変えようとしています。

実は、冬の間に阿寒湖を覆う「分厚い氷と雪」は、マリモたちを厳しい寒さと強い太陽光から守る天然のシェルター(盾)の役割を果たしています。もし温暖化でこの氷が張らなくなったら、あるいは春が早く来すぎて氷がすぐに解けてしまったら、マリモたちはどうなってしまうのでしょうか?

私たちは実験室での検証、そして実際に凍りついた冬の阿寒湖でのフィールド調査を経て、マリモの驚くべき「能力」と、直面している「静かな危機」を明らかにしました。

この連載を読み終える頃には、お土産屋さんで見かけるあの可愛いマリモが、過酷な地球環境(そして宇宙環境!?)を生き抜く「頼もしい極限環境生物」に見えてくるかもしれません。

💡 おわりに:関連イベントのお知らせと季節の便り

最後に、これから秋に向けて予定されている「宇宙」と「植物」にまつわる2つの注目イベントの紹介やお知らせになります。ブログとあわせて、ぜひチェックしてみてください。

🌌 天文台特別公開イベント

  • 【時期】10月予定(詳細は未定。決まり次第、HPやブログ等でお知らせします。)
  • 天文の最前線に触れられる特別な機会です。

🌱 日本植物学会第90回大会(野田)

😶‍🌫️ 無料ウェビナー「太陽系の外の世界に生命を探す」アーカイブ配信

  • 【講師】森 万由子 特別研究員(アストロバイオロジーセンター/国立天文台)
  • 国立天文台 国際普及室(IAU OAO)YouTubeチャンネルにて配信中(https://www.youtube.com/live/ws0x25OJN1Y)。地球外生命を巡る最先端の研究についてご紹介しています。難しい内容を非常に分かりやすい語り口で説明してくれてるので、ぜひ視聴してみてください。

さて、気づけば暦も進み、すっかり梅雨真っただ中です。雨が続くとちょっぴり憂鬱になりがちですが、今年は例年に比べてとても涼しく、過ごしやすい日が続きました。

梅雨の時期だからこそ美しく映えるのが紫陽花(あじさい)です。もう今年の見頃は過ぎましたが、アジサイの名所といえば鎌倉の長谷寺が有名ですね。みなさんは、見に行かれましたでしょうか。境内の山の斜面に設置された散策路「あじさい路(ろ)」には、40種類以上、約2500株もの色鮮やかな紫陽花が咲き誇ります。梅雨のしっとりとした空気の中に広がる青や紫のグラデーションは、まさに絶好の「映えスポット」。涼しい雨の日のお出かけに、ぜひいつか訪れていただきたいおススメの名所です 。

7月上旬になって、夏本来の暑い日が戻ってきました。熱中症等に気をつけて、十分に暑さ対策をしてお過ごしください。

次回は「第2回:マリモってどんな生き物?(基本情報編)」をお届けします(多分、前中後編の3部構成になりそう)。球状のマリモの、文字通り「おもて」と「うら」に隠された秘密に迫ります。どうぞお楽しみに!

マリモと紫陽花のイラスト