研究活動

原始惑星系円盤がひっくり返った証拠を発見


K2-290の惑星形成時の模式図。原始惑星系円盤が伴星(右上の赤い星)の重力によって円盤が大きく傾いた状態。
(Credit: Christoffer Gronne/Aarhus University)
概要

アストロバイオロジーセンター/国立天文台/東京工業大学の研究者を含む国際研究チームは、2つの惑星と伴星を持つ太陽系外惑星K2-290をすばる望遠鏡などで観測し、惑星がK2-290の自転方向と逆向きに公転していることを明らかにしました。

太陽系外の惑星系では,太陽系とは異なり,惑星の公転方向(または公転軸)が中心星の自転方向(自転軸)と大きくずれている系が多く存在することが観測的に知られていました。このような惑星の軌道と恒星の自転方向のずれを引き起こす原因として,惑星同士の重力散乱や近くの恒星の重力の影響など様々なメカニズムが提案されていましたが,これまではっきりしたことは分かっていませんでした。

今回観測されたK2-290は,軌道面がそろった2つの系外惑星を持つ恒星ですが,すばる望遠鏡を含む観測によってその2つの惑星の公転方向は中心星の自転方向と逆行していることが明らかになりました。一方,K2-290は以前すばる望遠鏡の高解像度撮像観測によって,伴星(惑星系の外側の質量の小さな恒星)がまわっていることが確認されていました。これらの事実を踏まえて数値計算を行ったところ, 惑星が形成された原始惑星系円盤が伴星の重力によって傾き,最終的に反転して逆行惑星が形成された可能性が高いことが判明しました。このように惑星が形成される時期に伴星によって円盤面が大きく変化したという証拠が確認されたのは今回が初めてのことです。

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すばる望遠鏡 プレスリリース

オーフス大学 プレスリリース