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	<title>光合成 - 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</title>
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	<title>光合成 - 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</title>
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		<title>変動光に立ち向かう光合成の司令塔――シトクロムb6/f複合体の減少が変動光に対する防御の鍵になる――</title>
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		<pubDate>Wed, 01 Oct 2025 12:57:02 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>発表のポイント （東大リリースから引用） 本研究の知見は、宇宙ステーションや将来の有人火星探査拠点など、閉鎖された人工環境下での食料生産とい... </p>
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<h3 class="wp-block-heading">発表のポイント</h3>



<ul class="wp-block-list">
<li>野外の植物は、陽射しが雲で遮られたり木の葉が風で揺れたりすることで、光の強さが常に変動する環境にさらされています。このような環境は植物の光合成装置に負荷をかけ、特に「光化学系Ⅰ」にダメージを与えることが知られています。</li>



<li>光合成の制御において中心的な役割を果たす「シトクロム<em>b</em><sub>6</sub>/<em>f</em>複合体」の量を減少させると、光合成の能力は減少するものの、一方で、変動する光から光化学系Ⅰを守る安定性が高まることがわかりました。</li>



<li> この成果は、自然環境で育つ作物が強い陽射しや影といった変動光に負けずに育つ「レジリエンス」を高めるための技術開発に貢献することが期待されます。</li>
</ul>



<p class="wp-block-paragraph">（東大リリースから引用）</p>



<p class="wp-block-paragraph">本研究の知見は、宇宙ステーションや将来の有人火星探査拠点など、閉鎖された人工環境下での食料生産というアストロバイオロジーの観点からも重要です。宇宙での植物栽培では、人工光（LEDなど）が唯一のエネルギー源となり、電力供給の変動などが光環境の急変につながる可能性があります。そのような極限環境では、生産性を多少犠牲にしても、決して枯れることのない「頑強さ」が最優先される場合があります。本研究で明らかになった光合成の安全装置は、宇宙のような特殊な環境で安定した食料生産を実現するための植物を設計する上で、重要な基盤技術となることが期待されます。(アストロバイオロジーセンター 河野 特任研究員)</p>



<p class="wp-block-paragraph">リリース詳細はこちら: <a href="https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20251001-1.html" target="_blank" rel="noopener" title="">東京大学プレスリリース</a></p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h3 class="wp-block-heading"><strong>論文情報</strong></h3>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>雑誌名:</strong>Physiologia Plantarum<br><strong>タイトル</strong>:Drastic Reduction in Cytochrome <em>b</em><sub>6</sub><em>/f</em> Complex Confers Robust PSI Photoprotection under Fluctuating Light at the Expense of Photosynthetic Capacity<br><strong>著者名</strong>: <strong>Masaru Kono</strong>(*), Hiromasa Kodama, Keiichiro Tanigawa, Ichiro Terashima, Wataru Yamori<br>（* ABCスタッフ）<br><strong>DOI</strong>:10.1111/ppl.70483<br><strong>URL</strong>: <a href="https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ppl.70483">https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ppl.70483</a><br></p><p>The post <a href="https://www.abc-nins.jp/2025/10/01/9911/">変動光に立ち向かう光合成の司令塔――シトクロムb6/f複合体の減少が変動光に対する防御の鍵になる――</a> first appeared on <a href="https://www.abc-nins.jp">自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>氷の下で眠るマリモ：春の光がもたらす危機と回復</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2025/09/29/9875/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 29 Sep 2025 06:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[jp]]></category>
		<category><![CDATA[マリモ]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>【発表のポイント】 【概要】 北海道・阿寒湖に生息する国の特別天然記念物「マリモ」は、季節ごとに大きく変動する環境下で生きています。なかでも... </p>
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<figure class="wp-block-image size-large"><img decoding="async" width="1024" height="730" src="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/2025年9月ABCマリモプレスリリース図2025年9月12日金21時00分-1024x730.png" alt="" class="wp-image-9877" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/2025年9月ABCマリモプレスリリース図2025年9月12日金21時00分-1024x730.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/2025年9月ABCマリモプレスリリース図2025年9月12日金21時00分-300x214.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/2025年9月ABCマリモプレスリリース図2025年9月12日金21時00分-768x547.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/2025年9月ABCマリモプレスリリース図2025年9月12日金21時00分-1536x1095.png 1536w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/2025年9月ABCマリモプレスリリース図2025年9月12日金21時00分.png 1790w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /></figure>



<h3 class="wp-block-heading">【発表のポイント】</h3>



<ul class="wp-block-list">
<li>阿寒湖のマリモは、湖が解氷した直後に低水温と強い日射にさらされることで、光合成能力が著しく低下する「光阻害」という深刻なダメージを受けていることを、野外調査により明らかにしました。</li>



<li>光阻害を受けたマリモは、その後20～30日かけて光合成能力を回復させる強靭な回復力を持つことがわかりました。</li>



<li>気候変動による結氷期間の短縮は、マリモが強光ストレスを受けやすい危険な期間を長期化させ、生存を脅かす可能性があることを示唆しています。</li>
</ul>



<h3 class="wp-block-heading">【概要】</h3>



<p class="wp-block-paragraph">北海道・阿寒湖に生息する国の特別天然記念物「マリモ」は、季節ごとに大きく変動する環境下で生きています。なかでも、冬の間に湖を覆っていた氷が解ける春先は、水温が低いまま強い日射にさらされるため、光合成機能に深刻なダメージを受ける危険性が指摘されてきました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">本研究では、アストロバイオロジーセンターの河野優 特任研究員、神奈川大学大学院の 小原晶奈 大学院生(当時)、岩元明敏 教授、東京科学大学の吉田啓亮 准教授、釧路市教育委員会マリモ研究室の尾山洋一 次長による研究チームが、野外調査と室内実験を組み合わせることで、この過酷な時期におけるマリモの光合成能力を詳細に評価しました。その結果、マリモは夏季や氷に覆われた冬季には健全な状態を保つ一方、春の解氷直後には光合成能力が著しく低下すること、そしてその後20～30日かけて自然に回復することが明らかになりました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">この成果は、マリモの保全において特に注意すべき「脆弱な時期」を科学的に特定した重要な知見であり、国際学術誌『Phycological Research』に2025年9月29日付で掲載されました。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img decoding="async" width="1024" height="675" src="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig1-1024x675.png" alt="" class="wp-image-9884" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig1-1024x675.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig1-300x198.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig1-768x506.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig1.png 1038w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">図１. (a) 阿寒湖に生育する球状集合体マリモ。結氷期間中（3月）に氷を人工的に切り開いて撮影したもので、氷上から湖底のマリモを眺めた写真。通常、分厚い氷の直下は非常に暗いが、氷を取り除くことで、太陽光が強く差し込む様子が確認できる。(b) マリモ群落の直上に水温計を設置し、2021年12月上旬から2022年5月上旬まで水温を連続観測した。1月6日付近（点線）で湖が完全に結氷し、4月9日頃に解氷した。結氷期間中（1月〜3月）は水温が約2℃で安定し、分厚い氷と雪によって強い日射は遮られる。一方、結氷前および解氷直後には、低水温下にもかかわらず強い光が湖底まで到達し、マリモは「低温かつ強光（LT-HL）」という過酷な環境に直面する。(c–e) 阿寒湖チュウルイ湾に氷が張る様子を、湖岸から撮影した写真。</figcaption></figure>



<h3 class="wp-block-heading">【研究背景】</h3>



<p class="wp-block-paragraph">マリモ（学名：<em>Aegagropila brownii</em>）(注1・2)は、美しい球状の集合体を形成することで知られる淡水性の緑藻です。なかでも北海道・阿寒湖に生息する大型のマリモは、国の特別天然記念物に指定されており、世界でも極めて稀少な存在です。<br>　阿寒湖では、冬になると湖面が厚い氷と雪に覆われます。この氷雪は、マリモを冬の強い太陽光から守る「日傘」のような役割を果たしています。しかし、結氷の直前や氷が解けた直後といった季節の変わり目には、水温が低い（1～4℃）ままであるにもかかわらず、湖底のマリモにまで強い光が届くという、植物にとって非常に過酷な「低水温・強光（LT-HL）」環境(注3)が生じます。このような環境では、光合成に必要なエネルギーの利用効率が低下し、光合成を担う装置である光化学系II(注4)がダメージを受ける「光阻害」(注5)が発生する危険性があると指摘されてきました。しかし、自然環境下の湖において、マリモがこうした影響を実際にどの程度受けているのかは、これまで明らかになっていませんでした。研究チームによる先行研究では、実験的に低水温・強光の環境を再現し、マリモが深刻なダメージを受ける可能性が示唆されていました。本研究は、この実験的な予測を踏まえ、初めて自然の湖沼環境において、結氷の直前や解氷期のマリモが実際にどのような光合成応答を示すのかを実証的に調査したものです。</p>



<h3 class="wp-block-heading">【研究成果】</h3>



<p class="wp-block-paragraph">本研究チームは、北海道・阿寒湖のチュウルイ湾において、季節ごとの水温や光環境のモニタリングを行うとともに、異なる季節にマリモを採集し、クロロフィル蛍光測定(注6)という手法を用いてその光合成能力を評価しました。<br>　その結果、夏（8月）および湖が完全に氷に覆われている冬の盛り（3月）に採集したマリモは、光合成能力の指標である光化学系IIの最大量子収率（F<sub>v</sub>/F<sub>m</sub>）(注7)が約0.6と高い値を示し、光合成の能力は健全な状態にあることが確認されました。<br>　一方、解氷直後（4月上旬）に採集したマリモでは、このF<sub>v</sub>/F<sub>m</sub>の値が太陽光にさらされた表面で約0.27まで著しく低下しており、深刻な光阻害が生じていることが明らかになりました。これは、冬の暗い環境に順応していたマリモが、突然強い光にさらされたことで大きなストレスを受けたことを示しています。<br>　しかしながら、マリモは強靭な回復力も持っていました。解氷から20～30日が経過し、水温が徐々に上昇し始めた5月上旬には、F<sub>v</sub>/F<sub>m</sub>の値が約0.55まで回復していたのです。この回復過程は室内実験でも裏付けられ、ダメージを受けたマリモの細胞を弱い光のもとに置くことで、光合成能力が回復し始めることが確認されました。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="596" src="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig2-1024x596.png" alt="" class="wp-image-9885" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig2-1024x596.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig2-300x175.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig2-768x447.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2025/09/20250929_Kono_Fig2.png 1361w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">図２. 球状マリモの光化学系II最大量子収率（Fv/Fm）の季節変化<br>結氷前（12月）、結氷中（3月）、解氷直後（4月）、解氷後20〜30日（5月）、および夏期（8月）に採集したマリモを用いて、球状体表面側（白棒）と裏面側（黒棒）のFv/Fm値をそれぞれ測定した。</figcaption></figure>



<h3 class="wp-block-heading">【今後の展望】</h3>



<p class="wp-block-paragraph">本研究は、春先の「解氷直後」が、マリモにとって脆弱な期間になり得ることを、野外データに基づいて初めて明らかにしました。この期間の環境変化は、マリモの長期的な生存に大きな影響を与える可能性があります。<br>　近年、気候変動の影響により、阿寒湖では結氷が遅れ、解氷が早まる傾向が報告されています。これは単に暖かい期間が長くなることを意味するわけではありません。春先の1～3月でも晴天時の日射は非常に強く、本来であれば分厚い氷と雪がマリモを保護しています。しかし、解氷が早まると、水温が低いままこの強烈な光にマリモが直接さらされる期間が長期化してしまいます。これにより、マリモが過酷な『低水温・強光（LT-HL）』環境にさらされる期間が延び、光によるダメージが蓄積しやすくなることが懸念されます。光阻害からの回復が追いつかなくなれば、マリモの個体群全体が衰弱し、将来的な存続が危ぶまれる可能性もあります。また、結氷期間そのものが湖の生態系全体を成り立たせる重要な要素であり、その短縮や喪失は、多様な生物の相互作用に甚大な影響を与えると考えられます。<br>　この貴重な自然遺産を未来へと引き継いでいくためには、生息地の物理的な環境を守るだけでなく、気候変動がマリモの生理に与える影響、特に、この脆弱な時期における光ストレスに着目し、科学的知見に基づく保全戦略を構築することが極めて重要です。本研究の成果は、阿寒湖のマリモという特定の生物群落にとどまらず、国内外の他の湖沼生態系で、気候変動のような複合ストレスに直面する希少な水生生物をいかに保全していくか、という普遍的な課題に対するモデルケースとしての意義も持っています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">本研究は、アストロバイオロジーの観点からも、重要な示唆を与えます。氷の下の暗闇から、解氷による突然の強光ストレスに耐え、回復していくマリモの生命戦略を解明することは、氷で覆われた天体のような地球外の極限環境に生命が存在するとすれば、どのようなメカニズムで生き延びているのかを理解する上で重要な手がかりとなります。また、地球の気候変動がこの特殊な生態系に与える影響を調べることは、劇的な環境変化を経験した惑星で、生命がどのように応答し、その痕跡を残しうるのかを考察する上での貴重な実例となるでしょう。本研究は、『極限的な惑星環境において、生命はどのように生き残り、進化するのか』というアストロバイオロジーの根源的な問いに、地球に生きる生命から迫る試みです。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h3 class="wp-block-heading">用語解説：</h3>



<p class="wp-block-paragraph">(注1)&nbsp;特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」<br>阿寒湖は、阿寒カルデラおよび古阿寒湖の形成後、雄阿寒岳の火山活動によって分断されて生じた堰止湖です。湖の北部に位置するチュウルイ湾とキネンタンペ湾には、世界的にも極めて珍しい球状のマリモ（<em>Aegagropila brownii</em>）が群生しています。特に、直径30 cmを超える巨大な球状マリモが多数確認されている湖は、世界で阿寒湖だけです。<br>その希少性と学術的価値の高さから、阿寒湖のマリモは1921年に国の天然記念物、1952年には特別天然記念物に指定されました。2024年時点で、国の天然記念物に指定されている藻類は8種あり、そのうち特別天然記念物に指定されている藻類は阿寒湖のマリモのみです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">(注2)&nbsp;マリモの学名（<em>Aegagropila brownii</em>）<br>2023年に発表された分類学研究により、これまで広く使われてきた&nbsp;<em>Aegagropila linnaei</em>&nbsp;というマリモの学名は誤りであり、正しい学名は&nbsp;<em>Aegagropila brownii</em>&nbsp;であると再定義されました。この変更はマリモの生態や遺伝的特徴が変わったわけではなく、国際的な分類学ルールに則って「名前」が訂正されたものです。<br>学名変更の背景には、「タイプ標本」の再評価があります。<em>A. linnaei</em>&nbsp;の元となる記載（<em>Conferva aegagropila</em>）は1753年にカール・リンネによってなされましたが、その後に選ばれた標本（レクトタイプ）は、実際には海に生える別種の藻類であることがわかりました。命名規約に基づくと、<em>A. linnaei</em>&nbsp;の名は海産種に属するものであり、淡水性のマリモには使用できません。そこで、淡水マリモに最も早く命名され、有効とみなされる学名を再検討した結果、1809年にアイルランド北部で採集された標本に由来する&nbsp;<em>Conferva brownii</em>&nbsp;が該当すると判断されました。この結果、マリモの正しい学名は&nbsp;<em>Aegagropila brownii</em>&nbsp;に変更されました（Guiry &amp; Frödén 2023）。<br>この変更はあくまで分類学的な見直しによるものであり、私たちが「マリモ」と呼ぶ生物の実体は変わっていません。生物学的な性質や保全上の重要性に影響を与えるものではなく、より正確な名前でマリモを理解し、保護していくための基盤となります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">(注3) LT-HL（Low Temperature &#8211; High Light）環境<br>低温かつ強光という、極域や春の解氷直後の湖沼に見られる特殊な環境条件。植物や藻類にとっては、光合成に対するストレスとなる可能性があります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">(注4)&nbsp;光化学系II（PSII）<br>光合成において、光エネルギーを吸収して水を分解し、電子を取り出す最初の反応を担うタンパク質複合体。光合成の“エンジン”の一部であり、特に強すぎる光によって損傷を受けやすいという特徴があります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">(注5)&nbsp;光阻害<br>植物や藻類が生きるために行う光合成は、光が強すぎると逆に能力が落ちてしまうことがあります。この現象が「光阻害」です。<br>光合成の仕組みを、太陽光をエネルギー源にして動く「栄養づくり工場」に例えてみましょう。この工場は、適度な量の光があれば元気に栄養を作り出せます。しかし、工場の処理能力をはるかに超える強すぎる光（(注3)LT-HL環境で解説）が降り注ぐと、エネルギー変換の最前線で働く機械（(注4)光化学系IIで解説）がダメージを受けて故障してしまいます。この“機械が故障して、工場全体の働きが鈍ってしまった状態”が光阻害です。<br>冬の間、暗い氷の下で静かに過ごしていたマリモにとって、解氷直後の強烈な日差しはあまりに刺激が強く、この「光阻害」を引き起こす大きな原因となります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">(注6)&nbsp;クロロフィル蛍光<br>植物の葉や藻類に含まれる光合成色素クロロフィルに光を当てた際に発せられる、ごく微弱な赤い光。この蛍光の強さやその変化を測定することで、光化学系IIの健康状態や光合成能力を、対象を傷つけることなく評価することができます。本研究では、この手法を用いて光阻害の程度を数値的に評価しました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">(注7)　光化学系IIの最大量子収率（F<sub>v</sub>/F<sub>m</sub>）<br>植物や藻類が行う光合成の「元気度」や「健康状態」を示す指標です。光合成を担う光化学系II（PSII）が、吸収した光エネルギーをどれだけ効率よく化学エネルギーに変換できるかを表しており、クロロフィル蛍光の測定によって算出されます。この値は0から1の間の数値で示され、健康な藻類や植物では一般的に0.6以上と高い値になります。数値が高いほど光化学系IIが健全に機能していることを意味します。一方で、強すぎる光などのストレスによって光化学系IIがダメージを受けると、この値は低下します。そのため、光阻害の信頼できる指標として広く利用されています。本研究では、このF<sub>v</sub>/F<sub>m</sub>値を測定することでマリモの健康状態を季節ごとに評価しました。夏期や結氷中は0.6前後の高い値を維持していましたが、解氷直後には太陽光が当たる表面で0.3以下まで著しく低下し、マリモが深刻な光ストレスを受けていることが明らかになりました。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h3 class="wp-block-heading">研究サポート：</h3>



<p class="wp-block-paragraph">本研究は、科学研究費助成事業（課題番号：24K09493, 23H04961, 23H02498）および日本科学協会の笹川科学研究助成の支援を受けて実施されました。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h3 class="wp-block-heading">関連リンク</h3>



<p class="wp-block-paragraph"><a href="https://www.kanagawa-u.ac.jp/news/details_29516.html" target="_blank" rel="noopener" title="">神奈川大学プレスリリース</a></p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h3 class="wp-block-heading">論文情報</h3>



<p class="wp-block-paragraph">雑誌：Phycological Research<br>タイトル：Photoinhibition Risk in Marimo (<em>Aegagropila brownii</em>) During Ice Transition Periods Based on Field Observations and Laboratory Assessments<br>DOI：<a href="https://doi.org/10.1111/pre.70013" target="_blank" rel="noopener" title="">https://doi.org/10.1111/pre.70013</a><br>著者：Masaru Kono, Akina Obara, Yoshihiro Suzuki, Akitoshi Iwamoto, Keisuke Yoshida, Yoichi Oyama</p>



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			</item>
		<item>
		<title>浮遊植生の反射スペクトルは海洋惑星の生命探査に利用できるか？</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2025/02/25/8880/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[oishi]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 25 Feb 2025 06:50:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[jp]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
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										</figure>
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									<p>近年の天文観測の進展により宇宙には地球と同じように水を湛えた惑星が多数存在することが明らかとなり、そうした惑星における生命探査がまもなく始まろうとしています。このたび、自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター/基礎生物学研究所および総合研究大学院大学の研究チーム（村上葵博士課程学生、小松勇特任研究員、滝澤謙二特任准教授）は、水面上に葉を広げる「浮遊植生」の反射スペクトルが、水の豊富な惑星における生命探査の有力な指標となる可能性について、培養実験と衛星観測を通じて検証しました。特にその周期的な変動を観測することの重要性を明らかにしました。本研究成果は、2025年2月24日に学術誌「Astrobiology」に掲載されました。</p>								</div>
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									<p><strong>【研究の背景】</strong><br />天文観測により現在までに6,000個近い太陽系外惑星が発見されており、惑星表面に液体の水が存在することが期待される生命居住可能（ハビタブル）な惑星も多数報告されています。宇宙生命探査は今世紀における最も重要な科学プロジェクトの一つであり、ハビタブル惑星の直接撮像観測の準備が進められています。</p><p>地球と類似した環境の惑星では陸上植物が示す特徴的な反射スペクトル（レッドエッジ）を生命の指標（バイオシグネチャー）として検出することが期待されていますが、地球よりも水が豊富で地表のほとんどが海洋で覆われた惑星では地球と同じような陸上植生の発達は期待できません。生命の誕生に不可欠な水が豊富にある海洋惑星における生命探査の可能性を広げるため、本研究では水面上に浮遊する植物による反射スペクトルの特徴とその検出可能性を検証しました。</p>								</div>
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									<p><strong>【研究の成果】</strong><br />本研究では浮遊植物の反射スペクトルを実験室での個葉の測定から衛星リモートセンシングによる湖沼植生の測定まで異なるスケールで調査し、その特徴を明らかにしました。</p><p>浮水葉の形態は種によって大きく異なるものの、一般的な傾向として、陸上植物と同等以上のレッドエッジを示しました。浮力を高めるための空気を多く含む葉肉組織や撥水性を高めるための表皮構造によりレッドエッジが強調されると考えられます。葉を水に浮かべた状態での反射率測定では、濡れることにより若干反射率が低下しますが、水中に沈む水草に比べて顕著なレッドエッジが確認できます(図1)。</p>								</div>
				</div>
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										</figure>
									</div>
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									<p>しかしながら、実際の自然環境下での大規模な観測では、群落密度が低く水面に重ならずに葉を広げる浮遊植生のレッドエッジは、密度の高い陸上植生に比べて低下します。衛星リモートセンシング（Sentinel-2; ESA）による反射率画像から、正規化植生指数（NDVI）を指標としてレッドエッジの大きさを比較した場合、湖沼の浮遊植生は周囲の森林植生より低い値を示しました。温帯域にある日本では発達した浮遊植生は夏季にのみ存在し、冬季に消失するため、通年で平均化した場合、NDVIは更に小さく検出困難になります。一方で、NDVIの最小値と最大値の変動幅は浮遊植生の方が森林植生より顕著でした。そこで、NDVIの周期変動に着目して日本全国148か所の湖沼を対象とした大規模な解析を行ったところ、冬季と夏季でマイナスからプラスに変化する浮遊植生に特徴的な季節変動パターンが確認されました（図２）。浮遊植物は水に濡れることにより反射率が低下するものの、水自体の反射率がより低く安定しているために、植生の増減が高感度に検出できたと考えられます。</p><p>浮遊植生によるNDVIの季節変動は、単純にNDVIの最大値を指標として比較する場合よりも大気と雲による減衰を受けにくいことから、将来の太陽系外生命探査においても有効な手法となり得ることが示唆されました。</p>								</div>
				</div>
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										</figure>
									</div>
				</div>
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									<p><strong>【今後の展望】</strong><br />水面に浮遊する植物のような光合成生物の進化が地球以外の惑星においても普遍的であれば、植物の反射スペクトルを手掛かりとする生命探査の候補惑星を地球のように大陸を形成する惑星に限定せずに、より水が豊富な海洋惑星に拡大することができます。多様な惑星環境に適応して進化する生物の形態を予測するためには、生命の誕生・進化プロセスを惑星環境との共進化の中で解明していくことが重要です。</p>								</div>
				</div>
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									<p><strong>用語解説：</strong><br /><strong>太陽系外惑星</strong>：太陽系の外に存在する惑星。将来の望遠鏡によって、植生など地表の反射特性を同定することが期待されている。</p><p><strong>浮遊植物</strong>：湖沼に生育する水生植物のうち葉を水面に浮かべる植物の一般的な総称。ここでは自由浮遊植物に加え、葉を水面に浮かべる浮葉植物と茎葉を水上に伸ばす抽水植物の一部を含む。</p><p><strong>レッドエッジ</strong>：赤色光と近赤外線の境界（700nm）で反射率が増大する植物に特有のスペクトル特性。</p><p><strong>正規化植生指数（NDVI）</strong>：赤色光反射率（Red）と近赤外線反射率（NIR）を用いて次式から計算される；NDVI＝（NIR-Red）/(NIR+Red)。リモートセンシングにおいて植生の分布や生育状況を評価するために使われる。</p>								</div>
				</div>
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									<p><strong>研究サポート：</strong><br />本研究は科学研究費補助金（学術変革領域研究「光合成ユビキティ」(24H02109)）のサポートを受けて行われました</p>								</div>
				</div>
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				<div class="elementor-widget-container">
									<p>論文情報<br />論文雑誌: Astrobiology<br />タイトル：Remote Detection of Red-Edge Spectral Characteristics in Floating Aquatic Vegetation<br />著者: 村上葵、小松勇、滝澤謙二 <br />DOI:10.1089/ast.2024.0127<br />URL: <a href="https://doi.org/10.1089/ast.2024.0127" target="_blank" rel="noopener">https://doi.org/10.1089/ast.2024.0127</a></p>								</div>
				</div>
					</div>
				</div>
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			</item>
		<item>
		<title>アストロバイオロジーからスマート農業の新技術</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2024/10/10/916/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 10 Oct 2024 02:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[jp]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.abc-nins.jp/?p=916</guid>

					<description><![CDATA[<p>元アストロバイオロジーセンター研究員の光合成に関する研究テーマが、スマート農業の新技術へと進展しました！ 論文主著者の上妻氏がABCに在籍し... </p>
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										<content:encoded><![CDATA[<div style="margin-top: 0px; margin-bottom: 0px;" class="sharethis-inline-share-buttons" ></div>
<h5 class="wp-block-heading">元アストロバイオロジーセンター研究員の光合成に関する研究テーマが、スマート農業の新技術へと進展しました！</h5>



<p class="wp-block-paragraph">論文主著者の上妻氏がABCに在籍していた当時も実施していた研究の成果です！</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<hr class="wp-block-separator has-alpha-channel-opacity"/>



<h3 class="wp-block-heading has-text-align-center"><strong>小型センサで植物を見守るスマート農業の新技術を開発</strong></h3>



<p class="has-text-align-center wp-block-paragraph">〜<strong>クラウド連携でいつでも、どこでも健康状態のモニタリングが可能に〜</strong></p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="754" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/10/202410Kozuma_f3-1024x754.jpg" alt="" class="wp-image-918" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/10/202410Kozuma_f3-1024x754.jpg 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/10/202410Kozuma_f3-300x221.jpg 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/10/202410Kozuma_f3-768x565.jpg 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/10/202410Kozuma_f3.jpg 1170w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">紅葉中のダケカンバを2週間に渡って観測しました。（上）8波長の経時変化。（中）日照量の推移。（下）実際の葉の色の変化。緑色が黄色、茶色と変化していく中で反射率が増減する様子が分かります。波長別の数値から、クロロフィル量やストレス応答を数値として算出することができます。(東北大学プレスリリースより)</figcaption></figure>
</div>


<p class="wp-block-paragraph"><strong>【発表のポイント】</strong></p>



<ul class="wp-block-list">
<li>植物の葉の裏面に取り付けて、葉の色の変化、クロロフィル<sup>（注</sup><sup>1</sup><sup>）</sup>量、ストレス応答を検出する小型センサを開発しました。</li>



<li>開発したセンサは、耐水性でバッテリー駆動による長期連続測定が可能な上、測定データをクラウド経由でいつでも、どこからでも確認可能です。</li>



<li>比較的低コストで実現できるため、センサを多数設置することで、植物の健康状態の広範囲あるいは高密度でのモニタリングが可能になります。</li>
</ul>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>【概要】</strong></p>



<p class="wp-block-paragraph">気候変動や人口増加の影響により、農業では効率的な資源管理と生産性向上が急務となっています。こうした背景から、スマート農業が注目されており、特に遠隔で植物の状態を把握できる技術が求められています。<a></a></p>



<p class="wp-block-paragraph">東北大学大学院工学研究科の宮本浩一郎准教授、大学院生命科学研究科の上妻馨梨助教（現：京都大学大学院農学研究科）は、植物の健康状態を遠隔からスマートフォンなどの端末で確認できる新しい小型センサを考案・開発しました。このセンサは植物の葉の裏側に取り付けることで、太陽光を遮ることなく、葉の生理応答を正確に測定することが可能です。測定データはオンラインストレージで共有され、遠隔かつリアルタイムにモニタリングが可能です。また、葉色やクロロフィル含量、環境ストレスの検出も可能で、長期連続および多点同時測定システムの実現への道を拓きます。この小型センサはわずか数千円で作製可能で、農業分野などへの活用が期待されます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">本成果は、2024年9月24日にバイオセンシングに関する専門誌Sensing and Bio-Sensing Researchに掲載されました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">詳細は<a href="https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/10/press20241010-02-smart.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東北大学のプレスリリース</a>をご参照ください。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>【論文情報】</strong></p>



<p class="wp-block-paragraph">掲載誌：Sensing and Bio-Sensing Research 46(2024),100688.</p>



<p class="wp-block-paragraph">タイトル：Analysis of plant physiological responses based on leaf color changes through the development and application of a wireless plant sensor</p>



<p class="wp-block-paragraph">著者：Kaori Kohzuma, Ko-ichiro Miyamoto</p>



<p class="wp-block-paragraph">責任著者1：東北大学大学院生命科学研究科　助教　上妻馨梨</p>



<p class="wp-block-paragraph">（現所属：京都大学大学院農学研究科、旧所属：東京大学理学系研究科、自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター）</p>



<p class="wp-block-paragraph">責任著者2：東北大学大学院工学研究科　准教授　宮本浩一郎</p>



<p class="wp-block-paragraph">DOI：10.1016/j.sbsr.2024.100688</p>



<p class="wp-block-paragraph">URL：<a href="https://doi.org/10.1016/j.sbsr.2024.100688" target="_blank" rel="noreferrer noopener">https://doi.org/10.1016/j.sbsr.2024.100688</a></p>



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			</item>
		<item>
		<title>光合成反応の安全弁からの放熱は植物と地球環境に影響を与えるか？</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2024/04/12/805/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 12 Apr 2024 05:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[jp]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.abc-nins.jp/?p=805</guid>

					<description><![CDATA[<p>植物は光合成によるエネルギー変換過程で、過剰な光エネルギーを熱として積極的に排出する非光化学的消光（NPQ）と呼ばれる安全弁を備えています。... </p>
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<figure class="wp-block-image size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1019" height="1024" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411r-1019x1024.png" alt="" class="wp-image-822" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411r-1019x1024.png 1019w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411r-300x300.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411r-150x150.png 150w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411r-768x771.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411r-1529x1536.png 1529w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411r.png 2007w" sizes="(max-width: 1019px) 100vw, 1019px" /><figcaption class="wp-element-caption">葉の内部での光合成に伴う熱の移動（上下）と地球全体の熱収支のイメージ図。日射：黄色矢印、赤外放射：茶色矢印、潜熱：灰色矢印、光合成に伴う余分な熱（NPQ）の放出：網掛け矢印。<a href="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig1_TK_MA_20240411.png">文字なし画像</a></figcaption></figure>



<p class="wp-block-paragraph">植物は光合成によるエネルギー変換過程で、過剰な光エネルギーを熱として積極的に排出する非光化学的消光（NPQ）と呼ばれる安全弁を備えています。近年NPQの分子メカニズムの解明が進み、環境適応に果たす役割の重要性が強調される一方で、NPQの排熱による影響は注目されておらず、定量されていませんでした。今回、自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターの滝澤謙二准教授、基礎生物学研究所のキム・ウンチュル助教、皆川純教授、総合研究大学院大学の村上葵氏による研究チームは、標準的な植物が日照下でNPQにより発する熱量を算出し、それによる葉の内部の温度上昇効果と、地球全体で平均化した場合の地温上昇効果を見積もりました。NPQによる発熱は細胞レベルにおいても、地球レベルにおいても、系全体のエネルギー収支に比べて小さいものの、無視できるほどではなく、熱の移動が制限される条件下では温度上昇に寄与する可能性があることを示しました。研究成果はFrontiers in Plant Science （2024年3月20日付）に掲載されました。</p>



<hr class="wp-block-separator has-alpha-channel-opacity"/>



<h5 class="wp-block-heading">研究成果</h5>



<ul class="wp-block-list">
<li>NPQによる葉の内部温度への影響<br>中緯度地域の正午の日射量に、集光アンテナ(注1)による吸収率、光化学反応中心(注2)でのエネルギー分配率を掛け合わせ、NPQとして放出される熱量を64Wm<sup>-2</sup>と見積もりました。表皮組織、柵状組織、海綿状組織から成る葉の構造を仮定し、中央の柵状組織からこの熱量が放出された場合の葉の内部温度勾配を算出したところ、通常は0.1度以下と軽微でしたが、熱伝導が海綿状組織の空気層に限られる特殊な条件下では、１度程度まで上昇する可能性があることが示されました。</li>



<li>NPQによる地球への表面温度への影響<br>地球上の緯度、季節、時刻による日射量変化と、植生の被覆率を考慮して、全体平均のNPQによる発熱量を2.2Wm<sup>-2</sup>と見積もりました。これは地表面からの赤外放射全体の0.55%に相当し、割合としては少ないものの、近年の温室効果ガスと同程度の影響を地球環境に与える可能性があることを示唆します。</li>
</ul>



<h5 class="wp-block-heading">今後の展望</h5>



<p class="wp-block-paragraph">植物生理学における展望：</p>



<p class="wp-block-paragraph">NPQによる発熱は葉全体を温める効果は低いが、局所的・一時的に細胞内、葉緑体内の温度を上昇させる可能性があります。金属ナノ粒子などの極小温度センサーの開発により葉緑体チラコイド膜周辺の温度勾配を明らかにすることで、光合成反応過程でのエネルギー分配、温度による制御を解明することが期待されます。</p>



<p class="wp-block-paragraph"></p>



<p class="wp-block-paragraph">アストロバイオロジーにおける展望：</p>



<p class="wp-block-paragraph">地球上の植物の多くは集光を最大化し、余分なエネルギーを熱として放出するように進化しています。植生による地表面の被覆は反射率を低下させるため、二酸化炭素の吸収による寒冷化をを相殺する効果があります。地球とは異なる太陽系外惑星において、日射のほとんどを反射し排熱が少ない植物が進化した場合、陸上植生の拡大により地球よりも急激な寒冷化が進む可能性があります。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="515" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig2_TK_MA_20240411r-1024x515.png" alt="" class="wp-image-813" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig2_TK_MA_20240411r-1024x515.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig2_TK_MA_20240411r-300x151.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig2_TK_MA_20240411r-768x386.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig2_TK_MA_20240411r-1536x773.png 1536w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2024/04/fig2_TK_MA_20240411r-2048x1031.png 2048w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">図２：植物に被覆された地表のイメージ写真。反射率が高く排熱が少ない植生に地表が覆われた場合(右図)、植生の拡大により惑星環境が急激に寒冷化する可能性があります。</figcaption></figure>



<hr class="wp-block-separator has-alpha-channel-opacity"/>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">用語解説：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">（注１）<strong>集光アンテナ</strong>：<br>光合成反応中心の周りに配置され、光を集めエネルギーを反応中心に受け渡す役割を担う色素タンパク質複合体。</p>



<p class="wp-block-paragraph">（注２）<strong>光合成反応中心</strong>：<br>光エネルギーを化学エネルギーに変換する色素タンパク質複合体。酸素発生型光合成では二つ一組で一連の電子伝達反応を駆動します。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">発表雑誌</h5>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>雑誌名</strong>：Frontiers in Plant Science</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>掲載日</strong>：2024年3月20日</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>論文タイトル</strong>：&nbsp;How much heat does non-photochemical quenching produce?</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>著者</strong>：<strong>Murakami A</strong>, Kim E, Minagawa J, and <strong>Takizawa K</strong></p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>DOI</strong>：<a href="https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.3389/fpls.2024.1367795/full">10.3389/fpls.2024.1367795</a></p><p>The post <a href="https://www.abc-nins.jp/2024/04/12/805/">光合成反応の安全弁からの放熱は植物と地球環境に影響を与えるか？</a> first appeared on <a href="https://www.abc-nins.jp">自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>南極の藻類が赤外線で光合成する仕組みを解明。地球外生命の新たな鍵？</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2023/02/16/457/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 16 Feb 2023 01:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.abc-nins.jp/?p=457</guid>

					<description><![CDATA[<p>発表のポイント： 研究の概要: アストロバイオロジーセンターの小杉 真貴子 特任研究員（現、基礎生物学研究所 特任助教、および中央大学共同研... </p>
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<h5 class="wp-block-heading">発表のポイント：</h5>



<ul class="wp-block-list">
<li>植物や藻類は一般的に、太陽光にふくまれる光の中でも可視光しか光合成に利用することができない。南極に繁殖するある藻類は赤外線を光合成に利用することができるが、その仕組みはわかっていなかった。</li>



<li>その藻類が赤外線で光合成をするために使われるタンパク質の構造を、クライオ電子顕微鏡と呼ばれる装置で明らかにした。</li>



<li>太陽系外で見つかっている惑星の多くは、太陽より温度が低く主に赤外線を出す恒星の周りにあり、赤外線を光合成に利用する生命の可能性が示唆されている。今回の成果は、そうした生命の可能性を探る手掛かりかもしれない。</li>
</ul>



<figure class="wp-block-image size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="846" height="408" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig1_Pc-frLHC_20230216Kosugi_r4.png" alt="" class="wp-image-462" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig1_Pc-frLHC_20230216Kosugi_r4.png 846w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig1_Pc-frLHC_20230216Kosugi_r4-300x145.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig1_Pc-frLHC_20230216Kosugi_r4-768x370.png 768w" sizes="(max-width: 846px) 100vw, 846px" /><figcaption class="wp-element-caption">図１：<a href="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig1_Pc-frLHC_20230216Kosugi.png" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Pc-frLHCの立体構造分子モデル</a>。ひとつひとつのタンパク質を異なる色で示した。それぞれのタンパク質に11個のクロロフィル分子（球体で示した分子）が結合している。タンパク質部分は、リボン図で表している。(クレジット：アストロバイオロジーセンター）</figcaption></figure>



<h5 class="wp-block-heading">研究の概要:</h5>



<p class="wp-block-paragraph">アストロバイオロジーセンターの小杉 真貴子 特任研究員（現、基礎生物学研究所 特任助教、および中央大学共同研究員）、高エネルギー加速器研究機構（KEK） 物質構造科学研究所の川崎 政人 准教授、安達 成彦 特任准教授、守屋 俊夫 特任准教授、千田 俊哉 教授、東北大学の柴田 穣 准教授、秋田県立大学の原 光二郎 准教授、東京農業大学の高市 真一 元教授、基礎生物学研究所の亀井 保博&nbsp;RMC教授、兵庫県立大学の菓子野 康浩 准教授、国立極地研究所の工藤 栄 教授、中央大学の小池 裕幸 教授の研究チームは、赤外線の一部である遠赤色光（700~800 nm）で酸素発生型の光合成を行うことが知られている緑藻ナンキョクカワノリにおいて、遠赤色光を吸収するための光捕集アンテナタンパク質（Pc-frLHC）を同定し、KEKにあるクライオ電子顕微鏡による単粒子解析（注釈１）によりその分子の立体構造を明らかにしました。Pc-frLHCは11個の同じタンパク質がリング状に結合した大きな複合体を作っていました（図１）。１つのタンパク質にそれぞれ11個のクロロフィルが結合しており、このうちの５つのクロロフィルが遠赤色光の吸収に関わる特別なクロロフィルであると示唆されました。分光学的な解析から、この特別なクロロフィルに吸収された遠赤色光のエネルギーの一部がPc-frLHC内で可視光と同等のエネルギーに変換されて光合成利用されていることを示しました。この結果は、英国の科学誌『Nature Communications』に2023年2月15日付で掲載されました（Kosugi&nbsp;<em>et al.</em>, 2023, “Uphill energy transfer mechanism for photosynthesis in an Antarctic alga”）。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">研究の背景：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">植物や藻類が行う光合成は、太陽光に含まれる可視光（350～700 nm）のエネルギーを使って水を酸素と水素と電子とに分解し、そこで得られた還元力が二酸化炭素の同化に利用されます。700 nmより長波長の光は赤外線と呼ばれますが、赤外線は可視光に比べてエネルギーが低いため通常は水の分解に利用されることがありません。これまでに一部のシアノバクテリア（注釈２）で赤外線を利用した光合成を行うことが知られており解析が進められて来ましたが、植物や藻類などの真核の光合成生物（注釈２）では解析が進んでいませんでした。</p>



<p class="wp-block-paragraph">アストロバイオロジーセンターの小杉（現、基礎生物学研究所）らは南極の陸上に生育する真核光合成生物である緑藻のナンキョクカワノリが赤外線の一部である遠赤色光（700~800 nm）を使って可視光と同じくらいエネルギー変換効率のよい光合成を行っていることを最近明らかにしていました（Kosugi et al. 2020）。南極の陸上環境は気温が低く頻繁に凍結し、極めて乾燥しています。それに加えて夏の間は非常に強い紫外線が降り注ぐため生物の多くは生存することができません。ナンキョクカワノリは乾燥や凍結に非常に強く、カラカラに乾燥しても長期冷凍しても水をかけるとすぐに代謝活性を回復させることができます。こうした性質により、南極の陸上環境で生育できる数少ない光合成生物のひとつとなっています。ナンキョクカワノリは細胞が何層にも重なったコロニー（集合体）を形成しています（図２）。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="619" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig2_Nankyoku_20230216Kosugi_map-1024x619.png" alt="" class="wp-image-466" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig2_Nankyoku_20230216Kosugi_map-1024x619.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig2_Nankyoku_20230216Kosugi_map-300x181.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig2_Nankyoku_20230216Kosugi_map-768x464.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig2_Nankyoku_20230216Kosugi_map.png 1280w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">図２：南極・昭和基地周辺(右図☆印)の<a href="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig2_Nankyoku_20230216Kosugi.jpg" target="_blank" rel="noreferrer noopener">露岩に形成されたナンキョクカワノリのコロニー</a>。現地の夏の時期、第５４次南極地域観測隊の活動中に撮影、比較用の物差しは23 cm。（クレジット：アストロバイオロジーセンター）</figcaption></figure>



<p class="wp-block-paragraph">コロニーの表層付近では太陽光が十分に届くため可視光を光合成に使うことができますが、太陽光に含まれる紫外線により細胞がダメージを受けるデメリットもあります。一方でコロニーの下層側では紫外線のダメージを受ける可能性が減りますが、可視光は表層側の藻が吸収して光合成に利用するためほとんど届かず、表層側の藻が利用しない赤外線の割合が多い環境となります。ナンキョクカワノリは赤外線を光合成に利用するシステムを進化の過程で獲得し、コロニー下層の光合成量を増加させることで、南極という非常に厳しい環境でも繁殖することができたと考えられます（図３）。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="351" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig3_ponchi_20230216Kosugi-1024x351.png" alt="" class="wp-image-467" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig3_ponchi_20230216Kosugi-1024x351.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig3_ponchi_20230216Kosugi-300x103.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig3_ponchi_20230216Kosugi-768x263.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig3_ponchi_20230216Kosugi.png 1301w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">図３：ナンキョクカワノリコロニーの表層と下層における光環境と光合成システムの違い。（クレジット：アストロバイオロジーセンター）</figcaption></figure>



<p class="wp-block-paragraph">赤外線を光合成に利用できる生物の存在は、アストロバイオロジー（宇宙生物学）の分野でも注目されています。それは、これまでに発見された系外惑星の多くが、太陽よりも暗く可視光より赤外線の割合が多い低温度星の周りにあるためです（注釈３）。光合成生物が大気中に放出する酸素は、系外惑星に生物が存在するかどうかを調べる際に地球からも観測が可能な生命の痕跡のひとつと考えられています。地球における赤外線を利用する光合成のメカニズムや進化のプロセスを明らかにすることは、低温度星周りの系外惑星における酸素の検出可能性を議論する上で重要です。また、ナンキョクカワノリの赤外線利用型光合成は低いエネルギーで高いエネルギーレベルにある分子を励起するアップヒル型のエネルギー移動（注釈４）を含んでいることが示唆されており、高い光利用効率を実現するメカニズムにはこれまでに知られていない量子生物学的反応が含まれている可能性があります。そこで、ナンキョクカワノリから赤外線捕集アンテナタンパク質を精製して同定し、その分子構造を明らかにすることで赤外線利用型光合成のメカニズムを解明することを目指しました。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">研究の成果：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">実験に用いたナンキョクカワノリは第49次および第54次南極地域観測隊の活動中に採集されました。ナンキョクカワノリの細胞を破砕し、タンパク質のサイズや電荷の違いで分けることにより、遠赤色光に顕著な吸収帯を持つタンパク質を精製しPc-frLHC（<em>Prasiola crispa</em>&nbsp;far-red light harvesting Chl-binding protein complex）と名前を付けました。タンパク質を構成するアミノ酸の並び方を解析した結果、Pc-frLHCは植物や緑藻が持つ光捕集アンテナタンパク質の中でも一部の緑藻の光化学系I（注釈５）に結合する4回膜貫通型（注釈６）のLHCI(Light harvesting chlorophyll&nbsp;<em>a</em>/<em>b</em>&nbsp;binding complex of photosystem I)に最も似ていることが分かりました。この４回膜貫通型LHCIは緑藻のクラミドモナスにおいて最も長波長の可視光を吸収することが報告されていますが、遠赤色光はほとんど吸収できません（Mozzo et al. 2010）。更にPc-frLHCは光化学系Iではなく水分解を行う光化学系II（注釈５）のアンテナとして機能していることから、緑藻がもともと持っている長波長吸収型のLHCの吸収帯が更に長波長へ移動し光化学系IIのアンテナとして進化したものと考えられました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">クライオ電子顕微鏡による単粒子解析では、Pc-frLHCの3次元立体構造分子モデルを高い分解能で得ることに成功しました。緑藻の一般的な光化学系IIアンテナタンパク質は3つのタンパク質が結合した構造ですが、今回解析を行ったPc-frLHCは11個のタンパク質がリング状に結合しており、新規の複合体構造です（図４）。１つのタンパク質に11個のクロロフィルが結合し、リング内のすべてのクロロフィルがエネルギーの受け渡しが可能な距離に存在し、エネルギー的に繋がったネットワークを形成していることが分かりました。通常、クロロフィルは可視光を吸収しますが、複数のクロロフィル分子が互いに近づいて相互作用すると、吸収帯の一部が長波長側へ移動することが知られています。比較的長波長の光を吸収できるクラミドモナスの４回膜貫通型LHCIでは２つのクロロフィルが接近していることが報告されていますが（Mozzo et al. 2010）、Pc-frLHCではこの2つのクロロフィルに更に別のクロロフィルが接近し、5つのクロロフィルが強く相互作用していることが分かりました。このクロロフィル構造がPc-frLHCの遠赤色光吸収を起こしていると考えられました。</p>



<figure class="wp-block-image size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="666" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig4_LHCI-II_20230216Kosugi-1024x666.png" alt="" class="wp-image-468" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig4_LHCI-II_20230216Kosugi-1024x666.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig4_LHCI-II_20230216Kosugi-300x195.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig4_LHCI-II_20230216Kosugi-768x499.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/02/fig4_LHCI-II_20230216Kosugi.png 1301w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">図４：緑藻における光合成光捕集アンテナタンパク質の構造の比較。光化学系Iとその周りに結合するLHCI（左、プロテインデータバンクID: 6jo5、Suga et al. 2019 Nature Plants 5: 626-636）、本研究で明らかになった遠赤色光捕集タンパク質（中央）および光化学系IIの可視光捕集タンパク質であるLHCII（右、プロテインデータバンクID: 1rwt、Liu et al. 2004. Nature 428: 287-292）。（クレジット：アストロバイオロジーセンター）</figcaption></figure>



<p class="wp-block-paragraph">Pc-frLHCに吸収された遠赤色光エネルギーの移動過程を理解するため、遠赤色光の超短パルスレーザーでPc-frLHCの長波長吸収型のクロロフィルを励起し、クロロフィル蛍光（注釈７）がどのように時間とともに変化するかを調べました。この時、長波長吸収型クロロフィルからの蛍光は713 nm、通常のクロロフィルからの蛍光は680 nmに検出されます。680 nmの蛍光が時間とともにどのように増加するかを調べることで、長波長吸収型クロロフィルと通常のクロロフィルの間でエネルギーが25&nbsp;ピコ秒（＝0.000000025秒）以内に行ったり来たりしていることがわかってきました。この結果から、長波長吸収型クロロフィルから通常のクロロフィルへのアップヒル型の励起エネルギー移動がPc-frLHC内で確かに起きていることが示されました。この過程で遠赤色光のエネルギーの一部が可視光のエネルギーに変換され、その後の光合成反応が可視光を吸収した場合と同様に進むと考えられます。</p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">今後の展望：</h5>



<ul class="wp-block-list">
<li>アップヒル型励起エネルギー移動の詳細を解明<br>遠赤色光による光化学系IIの高い励起効率の全容を明らかにするためには、Pc-frLHCから光化学系IIへのエネルギー移動の詳細を解析する必要があります。そこでPc-frLHCと光化学系IIが結合した状態の超複合体をナンキョクカワノリの細胞から精製し、その励起エネルギー移動過程の解明を目指します。</li>



<li>遠赤色光利用型の酸素発生型光合成生物の進化学的側面<br>タンパク質の同定や構造解析はなされていないものの、ナンキョクカワノリの他にも顕著な遠赤色光吸収帯を持つ真核の藻類が複数報告されていることから、今回ナンキョクカワノリに見つかったPc-frLHCと同様の遠赤色光吸収型光捕集タンパク質が、他の真核藻類にも存在している可能性があります。様々な藻類における遠赤色光利用型の光捕集タンパク質のアミノ酸配列を取得し、その進化系統を明らかにするとともに、遠赤色光利用のメカニズムの相同性や多様性について解析します。</li>



<li>アストロバイオロジー的側面<br>太陽系外惑星をターゲットとした生命探査は、次世代超大型望遠鏡の開発と共に今後大きく進展すると期待されています。観測可能な生物の痕跡（バイオシグニチャー）として有力視されている酸素ですが、低温度星周りの系外惑星に『光合成由来の』酸素が検出される可能性はあるのでしょうか。地球上に存在する赤外線による酸素発生型光合成の詳細を明らかにすることで、低温度星周りの系外惑星における光合成生物進化の可能性を探ります。</li>
</ul>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">注釈：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">1)  クライオ電子顕微鏡による単粒子解析：<br>近年急速に発展を遂げた、タンパク質の構造解析技術。従来のX線によるタンパク質構造解析はタンパク質の結晶が必要だがクライオ電子顕微鏡ではその必要が無く、結晶化が難しいサンプルや今回の南極由来生物のように少量しか得られないサンプルでも解析が容易になった。</p>



<p class="wp-block-paragraph">2) シアノバクテリアと真核の光合成生物：<br>シアノバクテリアは最も原始的な酸素発生型光合成生物で葉緑体の祖先と考えられている。シアノバクテリアが細胞内共生し、進化したものが真核の光合成生物である藻類や植物である。遠赤色光で光合成を行うメカニズムは、シアノバクテリアと真核光合成生物では異なっており、その両方を明らかにすることが重要である</p>



<p class="wp-block-paragraph">3) 低温度星：<br>太陽（G型）より軽く温度の低い恒星でM型矮星とも言われる。宇宙に存在する恒星の中で割合が圧倒的に多いことから生命探査の重要な対象とされている。可視光より赤外線の割合が多いため、周りの系外惑星の環境も赤外線が卓越する。</p>



<p class="wp-block-paragraph">4) アップヒル型励起エネルギー移動：<br>クロロフィル分子間の励起エネルギー移動は、通常高いエネルギーレベルの分子から低いエネルギーレベルの分子へ渡されるが、この逆反応をアップヒル型励起エネルギー移動と呼ぶ。アップヒル型励起エネルギー移動は熱エネルギーによって分子間のエネルギー差が補填された場合に起こるとされている。</p>



<p class="wp-block-paragraph">5) 光化学系Iおよび光化学系II：<br>葉緑体のチラコイド膜に存在する電子伝達系に関わるタンパク質。光エネルギーで電荷分離を起こす特別なクロロフィル反応中心を持つ。光化学系IIは水を分解し、光化学系Iは光化学系IIから受け取った電子のエネルギーレベルを二酸化炭素の固定に必要となる電子伝達体を還元できるレベルにまで高める。光化学系IIの励起には、光化学系Iより短波長の高い光エネルギーが必要とされる。</p>



<p class="wp-block-paragraph">6) 4回膜貫通型LHC：<br>藻類の光捕集アンテナタンパク質の多くは葉緑体の中にあるチラコイド膜と呼ばれる脂質２重層に折りたたまれて埋め込まれた形で存在する。折りたたまれた数により膜を貫通する回数が変わる。</p>



<p class="wp-block-paragraph">7) クロロフィル蛍光：<br>光を受けて電子励起したクロロフィルがエネルギーの低い状態になるときに発する光。<br></p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">論文情報：</h5>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>雑誌</strong>：Nature Communications</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>タイトル</strong>：Uphill energy transfer mechanism for photosynthesis in an Antarctic alga</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>著者</strong>：小杉 真貴子,&nbsp;川崎 政人,&nbsp;柴田 穣,&nbsp;原 光二郎,&nbsp;高市 真一,&nbsp;守屋 俊夫,&nbsp;安達 成彦,&nbsp;亀井 保博,&nbsp;菓子野 康浩,&nbsp;工藤 栄,&nbsp;小池 裕幸,&nbsp;千田 俊哉</p>



<p class="wp-block-paragraph">DOI：&nbsp;10.1038/s41467-023-36245-1</p>



<p class="wp-block-paragraph"><a href="https://www.nature.com/articles/s41467-023-36245-1">https://www.nature.com/articles/s41467-023-36245-1</a></p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">共同発表機関：</h5>



<ul class="wp-block-list">
<li>基礎生物学研究所　プレスリリース</li>



<li>中央大学　<a href="https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2023/02/64701/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">プレスリリース</a></li>



<li>国立極地研究所　<a rel="noreferrer noopener" href="https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20230216.html" target="_blank">プレスリリース</a></li>



<li>高エネルギー加速器研究機構　<a href="https://www.kek.jp/ja/press/202302161000/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">プレスリリース</a></li>



<li>東北大学　プレスリリース(<a href="https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/02/press20230216-01-antarctic.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東北大学ウェブサイト</a>, <a href="https://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20230216-12497.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">研究室ウェブサイト</a>)</li>



<li>兵庫県立大学　<a href="https://www.sci.u-hyogo.ac.jp/news/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">プレスリリース</a></li>
</ul>



<p class="wp-block-paragraph"></p><p>The post <a href="https://www.abc-nins.jp/2023/02/16/457/">南極の藻類が赤外線で光合成する仕組みを解明。地球外生命の新たな鍵？</a> first appeared on <a href="https://www.abc-nins.jp">自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>宇宙における光合成の蛍光を検出できるか？</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2023/01/11/327/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 11 Jan 2023 04:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
		<category><![CDATA[蛍光]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://wwwr2.abc-nins.jp/?p=327</guid>

					<description><![CDATA[<p>アストロバイオロジーセンター(ABC)の小松勇研究員らは、将来の太陽系外惑星の観測における生命の痕跡バイオシグネチャーとして、光合成由来の蛍... </p>
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										<content:encoded><![CDATA[<div style="margin-top: 0px; margin-bottom: 0px;" class="sharethis-inline-share-buttons" ></div>
<p class="wp-block-paragraph">アストロバイオロジーセンター(ABC)の小松勇研究員らは、将来の太陽系外惑星の観測における生命の痕跡バイオシグネチャーとして、光合成由来の蛍光がどのように検出され得るかを数値シミュレーションによって初めて見積もり、光合成の知見に基づいて詳細に議論しました。その結果、将来計画されている口径6mの宇宙望遠鏡では蛍光検出は難しいものの、TRAPPIST-1などの超低温矮星周りの惑星で同定しやすくなる条件・特徴があることが示唆されました。生物学から天文学まで複数の分野を跨いだ議論によって得られたこの結果は、米国の科学誌『The Astrophysical Journal』のオンライン版に2023年1月11日付で掲載予定です（Komatsu <em>et al.</em>, 2023)。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-328" src="https://wwwr2.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/exofluorescence_fig1.png" alt="" width="600" height="518" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/exofluorescence_fig1.png 588w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/exofluorescence_fig1-300x259.png 300w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" />
<figcaption class="wp-element-caption">図１：植物が蛍光を発する惑星のイメージ図(クレジット：アストロバイオロジーセンター)</figcaption>
</figure>
</div>


<p class="wp-block-paragraph">太陽系外惑星における生命探査は、アストロバイオロジー分野のもっとも重要なテーマの一つです。そのような生命存在の証拠となるものとして、光合成由来の光の特徴的なパターンを示す痕跡バイオシグネチャー（注１）を検出することが期待されています。その１つがレッドエッジ（注２）という、植生により反射する光のスペクトルの分光学的特徴です。例えば現在観測ターゲットとなっている太陽より軽く、宇宙に数多い軽い恒星（M型矮星）周りの惑星における光環境は太陽系の地球と大きく異なり、そこでレッドエッジがどのように現れるかが議論されています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">光合成において太陽光から吸収した光エネルギーは、光化学反応に使われるか、蛍光（注３）や熱として放出されます（図2）。地球のリモートセンシングではレッドエッジだけでなく、近年この蛍光も観測されており、レッドエッジによって惑星表面を覆う植生の量を計測するのに対して、蛍光はストレス状態など、より詳細な光合成の活動を推定するのに使われます。そこで我々は、レッドエッジとは異なる発展的なバイオシグネチャーとして光合成由来の蛍光が有望であるかを検証しました。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="634" height="447" class="wp-image-330" src="https://wwwr2.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/komatsu_na.png" alt="" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/komatsu_na.png 634w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/komatsu_na-300x212.png 300w" sizes="(max-width: 634px) 100vw, 634px" />
<figcaption class="wp-element-caption">図２：光合成において、太陽から得られた光エネルギーは、1. 光合成の光化学反応、2. 蛍光放射、3. 熱放散の形で消費される。(クレジット：アストロバイオロジーセンター)</figcaption>
</figure>
</div>


<p class="wp-block-paragraph">本研究では、太陽型星と、２つのM型矮星（GJ667C、TRAPPIST-1）をそれぞれ公転する地球型惑星において、異なる惑星大気や地表の条件を想定して、蛍光がどのように惑星のスペクトルに現れるかをシミュレーションしました。光合成生物の光吸収・蛍光スペクトルとしては、クロロフィル<em>a</em>, <em>b</em>を含む典型的な植生（Chl）、バクテリオクロロフィル<em>b</em>を持つ紅色細菌（BChl）の２つのものを用い、生息域における放射場の下で獲得した光子数に応じて適切にスケールさせて蛍光強度を決定しました。また、これらの光吸収スペクトルを用いて放射輸送計算（注４）によって葉の反射スペクトルを算出しました。このように光吸収・蛍光・反射を首尾一貫して扱うモデルを開発し、惑星スペクトルにどのように現れるかを調べました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">数値シミュレーションの結果、BChlの場合、雲や1,000 nm付近の強い吸収体がなければ、レッドエッジの検出と併せて、蛍光が光合成の痕跡を同定するバイオシグネチャーになりうることが示されました（図３）。ただし、NASAが計画する将来の口径6mの宇宙望遠鏡（以前の検討ではLUVOIR、現在はHabitable Worlds Observatoryと呼ばれる）を想定したノイズモデルを太陽型星周りに用いると、蛍光を同定するには非常に長期間の観測時間を要することもわかりました。興味深いことに、TRAPPIST-1のような超低温星は、恒星大気における酸化バナジウム（VO）や水素化鉄（FeH）、カリウムなどの吸収が強く、これらの吸収によって恒星からのフラックスが小さい波長域で、惑星からの蛍光が放出されると見かけの反射率が顕著に大きくなりました。これは、TMTなどの将来の超大型地上望遠鏡によって高分散で蛍光を観測するのに良い特徴である可能性があり、今後検証が必要です。さらには、光合成の生理学的な観点から蛍光を大きく発する条件を考察し、また非生物的にも発生する蛍光から生物由来の蛍光と区別するには入射する光に対して発光強度が非線形になる特徴を捉えることが重要であることなどの議論がなされています。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="940" height="896" class="wp-image-332" src="https://wwwr2.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/komatsu2023_fig3.png" alt="" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/komatsu2023_fig3.png 940w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/komatsu2023_fig3-300x286.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/komatsu2023_fig3-768x732.png 768w" sizes="(max-width: 940px) 100vw, 940px" />
<figcaption class="wp-element-caption">図３：BChlを想定したGJ667C、TRAPPIST-1周りの地球型惑星の反射スペクトル。70%海、30%植生の場合を示しており、1 Fflour.は地球の観測値に対応するもの。仮想的なレッドエッジの特徴が見えており、また、TRAPPIST-1周りで蛍光の寄与が大きく見えているのは恒星のVO、FeHの吸収帯による。 (クレジット：アストロバイオロジーセンター)</figcaption>
</figure>
</div>


<p class="wp-block-paragraph">ABCでは、研究分野としての天文学・生物学、また、研究手段としての観測・実験・理論の垣根を超えた若手による分野連携が活発に行われています。本研究はこのような活動の結果が学術論文としてまとめられたものです。これはまさに、生物学と天文学、また、理論と観測をつなぐ成果といえるでしょう。</p>


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<p class="has-small-font-size wp-block-paragraph"><strong>脚注</strong>：<br />(注1) 酸素やオゾン、メタンなどの大気分子や、地表の特徴を捉えることが考えられている。<br />(注2) 700 nm付近で葉の反射スペクトルが急激に増大する特徴。<br />(注3) 光を受けて電子励起したものがエネルギーの低い状態になるときに発する光。<br />(注4) 光の伝搬を扱う計算手法。</p>



<p class="has-small-font-size wp-block-paragraph"><strong>論文情報：</strong><br />雑誌：The Astrophysical Journal<br />タイトル：Photosynthetic Fluorescence from Earth-like Planets around Sun-like and Cool Stars<br />著者：小松 勇, 堀 安範, 葛原 昌幸, 小杉 真貴子, 滝澤 謙二, 成田 憲保, 大宮 正士, キム ウンチュル, 日下部 展彦, ヴィクトリア メドウズ , 田村 元秀 <br />DOI: 10.3847/1538-4357/aca3a5<br />アーカイブ: <a href="http://arxiv.org/abs/2301.03824" target="_blank" rel="noreferrer noopener">http://arxiv.org/abs/2301.03824</a></p><p>The post <a href="https://www.abc-nins.jp/2023/01/11/327/">宇宙における光合成の蛍光を検出できるか？</a> first appeared on <a href="https://www.abc-nins.jp">自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>Can We Detect Photosynthetic Fluorescence in Space?</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2023/01/11/531/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 11 Jan 2023 01:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[eng]]></category>
		<category><![CDATA[Fluorescence]]></category>
		<category><![CDATA[Photosynthesis]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
		<category><![CDATA[蛍光]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>Yu Komatsu, a researcher at the Astrobiology Center (ABC), and his col... </p>
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										<content:encoded><![CDATA[<div style="margin-top: 0px; margin-bottom: 0px;" class="sharethis-inline-share-buttons" ></div>
<p class="wp-block-paragraph">Yu Komatsu, a researcher at the Astrobiology Center (ABC), and his collaborators estimated for the first time by numerical simulation how photosynthesis-derived fluorescence could be detected as a biosignature of life in future observations of extrasolar planets and discussed in detail based on our knowledge of photosynthesis. The results suggest that although fluorescence detection will be difficult with a future planned 6-meter aperture space telescope, some conditions and features will facilitate the identification of planets around ultra-cool dwarfs such as TRAPPIST-1. The results, which were obtained through discussions across multiple disciplines from biology to astronomy, were published in the online edition of the American scientific journal “The Astrophysical Journal” on 11th January, 2023 (Komatsu et al., 2023).</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="588" height="508" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/exofluorescence_fig1.png" alt="" class="wp-image-328" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/exofluorescence_fig1.png 588w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/01/exofluorescence_fig1-300x259.png 300w" sizes="(max-width: 588px) 100vw, 588px" /><figcaption class="wp-element-caption"><strong>Figure 1</strong> : An image for the planet with photosynthetic fluorescence. (Credit: Astrobiology Center)</figcaption></figure>
</div>


<p class="wp-block-paragraph">The search for life on exoplanets is one of the most important themes in the field of astrobiology. As evidence for the existence of such life, it is expected to detect biosignatures (Note 1) that show characteristic patterns of photosynthesis-derived light. One of these is the red edge (Note 2), a spectroscopic feature of the light spectrum reflected by vegetation. For example, the light environment of planets around stars lighter than the Sun (M dwarfs), which are currently the target of observation, is very different from that of the Earth in our solar system, and it is under discussion how the red edge appears. </p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="556" height="394" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/04/komatsu_na_en.png" alt="" class="wp-image-533" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/04/komatsu_na_en.png 556w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/04/komatsu_na_en-300x213.png 300w" sizes="(max-width: 556px) 100vw, 556px" /><figcaption class="wp-element-caption"><strong>Figure 2</strong> : In photosynthesis, light energy obtained from the Sun is consumed in the form of 1. photochemical reactions, 2. fluorescent emission, and 3. heat dissipation. (Credit: Astrobiology Center)</figcaption></figure>
</div>


<p class="wp-block-paragraph">In photosynthesis, light energy absorbed from sunlight is either used for photochemical reactions or released as fluorescence (Note 3) or heat (Figure 2). Remote sensing of the Earth has recently observed the fluorescence as well as the red edge. The red edge allows us to measure the amount of vegetation covering the planetary surface, whereas the fluorescence is used to estimate more detailed photosynthetic activity, such as stress conditions. We, therefore, tested the promise of photosynthetically derived fluorescence as an advanced biosignature in addition to the red edge.</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="990" height="948" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/04/komatsu2023_fig3_en.png" alt="" class="wp-image-534" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/04/komatsu2023_fig3_en.png 990w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/04/komatsu2023_fig3_en-300x287.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/04/komatsu2023_fig3_en-768x735.png 768w" sizes="(max-width: 990px) 100vw, 990px" /><figcaption class="wp-element-caption"><strong>Figure 3</strong> : Reflection spectra of terrestrial planets around GJ667C and TRAPPIST-1 assuming BChl, showing the case of 70% ocean and 30% vegetation, with 1 Fflour. corresponding to the observed fluorescence on Earth. The hypothetical red-edge features are visible, and the large fluorescence contribution around TRAPPIST-1 is due to the absorption bands of stellar VO and FeH. (Credit: Astrobiology Center)</figcaption></figure>



<p class="wp-block-paragraph">In this study, we simulated how fluorescence appears in planetary spectra for a Sun-like star and an Earth-like planet orbiting two M-type dwarfs (GJ667C and TRAPPIST-1), respectively, assuming different planetary atmospheres and surface conditions. We used two light absorption and fluorescence spectra of photosynthetic organisms: typical vegetation with chlorophyll a and b (Chl) and purple bacteria with bacteriochlorophyll b (BChl). We determined the fluorescence intensity by appropriately scaling it according to the number of photons acquired under radiation fields in the habitat. Using these light absorption spectra, we also calculated the leaf reflection spectra by means of radiation transfer calculations (Note 4). In this way, we developed a model that consistently handles light absorption, fluorescence, and reflection, and investigated how they appear in planetary spectra.</p>



<p class="wp-block-paragraph">Numerical simulations showed that, in the case of BChl, in the absence of clouds or strong absorbers around 1,000 nm, the fluorescence, together with the detection of red edges, can be a good biosignature to identify traces of photosynthesis (Figure 3). However, a noise model assuming NASA&#8217;s planned future 6 m aperture space telescope (previously considered as LUVOIR, now called the Habitable Worlds Observatory) around solar-type stars, we also found that it takes a very long observation time to identify the fluorescence. Even so, ultra-cool stars such as TRAPPIST-1 have strong absorption of vanadium oxide (VO), iron hydride (FeH), and potassium in the stellar atmosphere, and interestingly these lead to significantly larger apparent reflectance at wavelengths where the flux from the star is small due to this stellar absorption, and fluorescence emission from the planet. This may be a good feature for observing fluorescence at high dispersion by future large ground-based telescopes such as TMT and needs to be verified in the future. Furthermore, it is important to consider the conditions for large fluorescence emission from the physiological perspective of photosynthesis and to capture the nonlinear response of biological fluorescence relative to the incident light since fluorescence is also generated nonbiologically.<br>At ABC, young researchers actively collaborate across the boundaries of research fields between astronomy and biology, and observation, experiment, and theory. This study results from such activities and has been compiled as an academic paper. This is truly an achievement that links biology and astronomy, and theory and observation.</p>



<hr class="wp-block-separator has-alpha-channel-opacity"/>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>Footnotes</strong> :<br>(Note 1) Spectral features of atmospheric molecules such as oxygen, ozone, and methane, and the surface feature, e. g., due to vegetation.</p>



<p class="wp-block-paragraph">(Note 2) A feature in which the reflectance spectrum of leaves increases sharply around 700 nm.</p>



<p class="wp-block-paragraph">(Note 3) The light emitted when electronically excited states by light quenched to a low-energy state.</p>



<p class="wp-block-paragraph">(Note 4) A calculation method that deals with light propagation.</p>



<hr class="wp-block-separator has-alpha-channel-opacity"/>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>Publication Information :</strong><br><strong>Journal: </strong>The Astrophysical Journal<br><strong>Title:</strong> Photosynthetic Fluorescence from Earth-like Planets around Sun-like and Cool Stars</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>Authors:</strong> Yu Komatsu 1,2, Yasunori Hori 1,2, Masayuki Kuzuhara 1,2, Makiko Kosugi 1,2,3, Kenji Takizawa 1,3, Norio Narita 4,1, Masashi Omiya 1,2, Eunchul Kim 3, Nobuhiko Kusakabe 1,2, Victoria Meadows 5, Motohide Tamura 1,2,4<br>1) Astrobiology Center, 2) National Astronomical Observatory of Japan, 3) National Institute for Basic Biology, 4) University of Tokyo, 5) University of Washington</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>DOI:</strong> 10.3847/1538-4357/aca3a5</p>



<p class="wp-block-paragraph">arXiv: <a href="https://arxiv.org/abs/2301.03824" target="_blank" rel="noreferrer noopener">https://arxiv.org/abs/2301.03824</a></p><p>The post <a href="https://www.abc-nins.jp/2023/01/11/531/">Can We Detect Photosynthetic Fluorescence in Space?</a> first appeared on <a href="https://www.abc-nins.jp">自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>光合成のステート遷移構造決まる</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2021/07/09/603/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 09 Jul 2021 05:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.abc-nins.jp/?p=603</guid>

					<description><![CDATA[<p>太陽光は全ての生命にとって重要なエネルギー源です。植物は光合成反応を利用して太陽光のエネルギーを獲得しますが、その際の光の利用効率は常に最適... </p>
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										<content:encoded><![CDATA[<div style="margin-top: 0px; margin-bottom: 0px;" class="sharethis-inline-share-buttons" ></div><div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="289" height="217" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/09/20210708Takizawa_fig1.png" alt="" class="wp-image-604"/><figcaption class="wp-element-caption">光化学系Iステート遷移超複合体の分子模型<br>(分子科学研究所計算科学センター作成)</figcaption></figure>
</div>


<p class="wp-block-paragraph">太陽光は全ての生命にとって重要なエネルギー源です。植物は光合成反応を利用して太陽光のエネルギーを獲得しますが、その際の光の利用効率は常に最適化されています。最適化のしくみの一つで、２つの光化学系（光化学系Iと光化学系II）をバランスよく駆動するしくみが「ステート遷移」です。今回、光化学系Iとこれに光エネルギーを与える集光装置LHCI、さらに光化学系IIから渡されたLHCIIの三者が結合した光化学系Iステート遷移超複合体（PSI-LHCI-LHCII超複合体）を緑藻の細胞から取り出して、その立体構造をクライオ電子顕微鏡にて決定しました。これにより、２つの巨大光化学系複合体の間で集光アンテナLHCIIをやり取りするステート遷移の詳細が解明されました。本研究は自然科学研究機構 基礎生物学研究所の得津隆太郎助教（現所属京都大学理学研究科）、皆川純教授、生理学研究所の村田和義特任教授、アストロバイオロジーセンターの滝澤謙二特任准教授、高知大学理工学部の山﨑朋人助教、中国科学院のMei Li博士らによる国際共同研究チームによる成果です。研究成果は<em>Nature Plants</em>（英国時間2021年7月8日付）に掲載されました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">リリース詳細：基礎生物学研究所<a href="https://www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2021/07/09.html" data-type="link" data-id="https://www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2021/07/09.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">プレスリリース</a></p>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<p class="wp-block-paragraph"><strong>【掲載誌情報】</strong></p>



<p class="wp-block-paragraph">タイトル: Structural basis of LhcbM5-mediated state transitions in green algae</p>



<p class="wp-block-paragraph">著者: Xiaowei Pan, Ryutaro Tokutsu, Anjie Li, Kenji Takizawa, Chihong Song, Kazuyoshi Murata, Tomohito Yamasaki, Zhenfeng Liu, Jun Minagawa, Mei Li</p>



<p class="wp-block-paragraph"><strong><em>Nature Plants</em></strong></p>



<p class="wp-block-paragraph"><a href="https://www.nature.com/articles/s41477-021-00960-8" target="_blank" rel="noreferrer noopener">https://www.nature.com/articles/s41477-021-00960-8</a></p>



<p class="wp-block-paragraph">DOI:10.1038/s41477-021-00960-8</p><p>The post <a href="https://www.abc-nins.jp/2021/07/09/603/">光合成のステート遷移構造決まる</a> first appeared on <a href="https://www.abc-nins.jp">自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>南極の陸上環境で近赤外線による酸素発生型光合成を行う緑藻類を発見</title>
		<link>https://www.abc-nins.jp/2020/01/07/710/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[nins-abc_web]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 07 Jan 2020 01:00:00 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ABC]]></category>
		<category><![CDATA[光合成]]></category>
		<category><![CDATA[南極]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.abc-nins.jp/?p=710</guid>

					<description><![CDATA[<p>概要： 南極の陸上は低温や凍結、乾燥、夏期間の強い紫外線などに晒される極限環境にあります。そうした環境でも生育が可能な生物の適応戦略を明らか... </p>
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										<content:encoded><![CDATA[<div style="margin-top: 0px; margin-bottom: 0px;" class="sharethis-inline-share-buttons" ></div>
<figure class="wp-block-image size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="1024" height="751" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/nankyokukawanori-1024x751.png" alt="" class="wp-image-711" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/nankyokukawanori-1024x751.png 1024w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/nankyokukawanori-300x220.png 300w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/nankyokukawanori-768x563.png 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/nankyokukawanori.png 1176w" sizes="(max-width: 1024px) 100vw, 1024px" /><figcaption class="wp-element-caption">本研究の模式図。ナンキョクカワノリのポンチ絵（左）と、その上層・下層に届く光のスペクトル（右）</figcaption></figure>



<h5 class="wp-block-heading">概要：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">南極の陸上は低温や凍結、乾燥、夏期間の強い紫外線などに晒される極限環境にあります。そうした環境でも生育が可能な生物の適応戦略を明らかにすることは、地球のみならず宇宙の様々な環境における生命現象の可能性を理解する上で重要です。</p>



<p class="wp-block-paragraph">アストロバイオロジーセンターの小杉研究員らの研究チームは、南極で採集されたナンキョクカワノリが一般的な光合成生物が利用している可視光に加え、光環境に応じて近赤外線でも一連の光合成反応を行っていることを初めて明らかにしました。近赤外線のエネルギーは可視光に比べて低いため、光合成効率は大きく下がることが予測されていましたが、酸素発生活性と光化学系の酸化還元反応の測定の結果、藻体に吸収された光子の光合成への利用効率は可視光と変わらないことが明らかになりました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">ナンキョクカワノリの藻体は何層にも重なった状態で生育しているため、可視光は主に上層に吸収され、下層に到達する光は可視光より近赤外線の割合が大きくなります。近赤外線の光合成利用を可能にするシステムは、ナンキョクカワノリ群落全体の光合成効率を上昇させることに役立っていると考えられます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">地球上の極限環境における近赤外線を利用する光合成生物の存在は、近赤外線の割合が非常に多い恒星（赤色矮星）周りの惑星における生物進化を考える上で様々なヒントを与えてくれます。今後、近赤外線利用型光合成の進化とメカニズムの解明が進むことで、こうした惑星に酸素発生型光合成生物が存在する可能性に迫ることができると考えています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">この結果は、生物学系専門誌のBiochimica et Biophysica Acta – Bioenergeticsに出版されました。</p>



<h5 class="wp-block-heading">発表のポイント：</h5>



<ul class="wp-block-list">
<li>極域で優占する藻類において近赤外線による酸素発生型光合成が発見された。</li>



<li>アップヒル型<sup>（注釈１）</sup>の励起エネルギー移動による高効率の光合成反応が示唆された。</li>
</ul>



<p class="has-small-font-size wp-block-paragraph"><sup>（注釈１）</sup>励起時のエネルギー状態が低い分子から高い分子へと励起エネルギーが移動する現象。図３の右図を参照。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-large"><img loading="lazy" decoding="async" width="576" height="1024" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図１-576x1024.jpg" alt="" class="wp-image-712" srcset="https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図１-576x1024.jpg 576w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図１-169x300.jpg 169w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図１-768x1366.jpg 768w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図１-864x1536.jpg 864w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図１-1152x2048.jpg 1152w, https://www.abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図１.jpg 1181w" sizes="(max-width: 576px) 100vw, 576px" /><figcaption class="wp-element-caption">図１：ナンキョクカワノリが生育する南極大陸の露岩地域</figcaption></figure>
</div>


<h5 class="wp-block-heading">研究背景：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">現在の地球で藻類や植物が行っている光合成は、光エネルギーを使って水を分解し、得られた還元力で二酸化炭素から有機物を作り出す反応です。水の分解過程で酸素が放出されます。この酸素発生型の光合成は、27億年ほど前に原核生物のシアノバクテリア（ラン藻）によって開始され、酸素がほとんど存在しない嫌気的な地球環境を好気的な環境へと変貌させました。大気中の酸素濃度の上昇は好気呼吸をする生物の繁栄をもたらし、地球の生物進化に大きな影響を与えたと考えられています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">これまで、酸素発生型光合成反応には可視光のエネルギーが必要であると考えられてきました。それより低い光エネルギーでは水を分解して二酸化炭素を固定するための還元力を得ることが難しくなるからです。しかし1990年代以降、近赤外線のみで酸素発生型光合成を行う生物の発見が相次いでいます。一部のシアノバクテリアは近赤外線を吸収する光合成色素（クロロフィル<em>d</em>,&nbsp;<em>f</em>）を合成し、電荷分離反応を行う反応中心に利用（直接的な赤外線利用）していることが報告されました。一方で、一部のシアノバクテリアや真核の光合成生物において、近赤外線吸収型のクロロフィルから可視光吸収型のクロロフィルへの効率的なエネルギー移動（間接的な赤外線利用）が示唆されており、それを可能にするアップヒル型<sup>（注釈１）</sup>のエネルギー伝達メカニズムが注目されています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">ナンキョクカワノリ（<em>Prasiola crispa</em>）は、緯度の高い寒冷な地域に広く分布する陸棲の緑藻で、極域環境（図１）で大きな群落を形成することで知られています。研究チームは、極域に生育する生物の適応戦略を明らかにすることを目的として、ナンキョクカワノリのストレス耐性能力と生育環境を詳しく調べてきました。その過程で、ナンキョクカワノリが一般の緑藻には見られないような近赤外線吸収帯を持つことを確認し、その役割について解析を行いました。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img decoding="async" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図2.tif" alt="" class="wp-image-713"/><figcaption class="wp-element-caption">図２：ナンキョクカワノリの群落（左）と一個体（右）</figcaption></figure>
</div>


<h5 class="wp-block-heading">研究内容：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">南極で採集したナンキョクカワノリ（図２）は、通常の赤色可視光吸収帯（680 nm）の肩として、710nm付近に吸収のピークを持つ近赤外線の吸収帯を有しています。近赤外線吸収帯のサイズは野外で採集した個体ごとに大きく変動し、近赤外線をほぼ含まない蛍光灯下で長期培養するとなくなることから、光環境に応じて発現が調整されていると考えられます。光合成活性の光波長依存性を測定した結果、近赤外線吸収帯に吸収された光エネルギーは可視光の赤色光と同程度の効率で光合成に利用されていることが明らかになりました。藻類において水の分解反応は可視光に相当する光エネルギーが必要とされることから、アップヒル型<sup>（注釈１）</sup>の励起エネルギー移動が起きていることが示唆されました。熱揺らぎで補える範囲を大きく超えたアップヒル励起反応<sup>（注釈１）</sup>が起きている可能性があり、今後の分子メカニズムの解明が期待されます。図３は今回の成果をまとめた模式図です。</p>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" src="https://abc-nins.jp/wp-content/uploads/2023/10/図３.tif" alt="" class="wp-image-714"/><figcaption class="wp-element-caption">図３：今回の成果の模式図。層状になっているナンキョクカワノリ群落（左）と、上層・下層それぞれに届く光のスペクトル（中）。「アップヒル型」の０期エネルギー移動のイメージ（右下）</figcaption></figure>



<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>



<h5 class="wp-block-heading">論文情報：</h5>



<p class="wp-block-paragraph">著者：<br>Makiko Kosugi, Shin-Ichiro Ozawa, Yuichiro Takahashi, Yasuhiro Kamei, Shigeru Itoh, Sakae Kudoh, Yasuhiro Kashino, Hiroyuki Koike, </p>



<p class="wp-block-paragraph">タイトル：<br>Red-shifted chlorophyll a bands allow uphill energy transfer to photosystem II reaction centers in an aerial green alga, <em>Prasiola crispa</em>, harvested in Antarctica, </p>



<p class="wp-block-paragraph">論文誌：<br>Biochimica et Biophysica Acta – Bioenergetics, 2020年 Vol. 1861 (2), 148139, <br>DOI:10.1016/j.bbabio.2019.148139</p><p>The post <a href="https://www.abc-nins.jp/2020/01/07/710/">南極の陸上環境で近赤外線による酸素発生型光合成を行う緑藻類を発見</a> first appeared on <a href="https://www.abc-nins.jp">自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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